INTRODUCTION

「もし我々を空想家のようだと言うなら、
 救いがたい理想主義者だと言うなら、
 できもしない事を考えていると言うなら、
 我々は何千回でも答えよう。その通りだと」
          ――― エルネスト・チェ・ゲバラ

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チェ・ゲバラの“意思”を継ぎ、見果てぬ夢を追い求めた男。没後50年となる2017年、2人の“エルネスト”が甦る-!

弱者のために立ち上がったキューバ革命の歴史的英雄であり、また、最後まで理想を追い求め、自らの信念を突き通した生き方、比類なきカリスマ性によって今もなお世界中の人々を魅了してやまぬ男、チェ・ゲバラ。1967年10月9日、ボリビア戦線にて39歳の若さで命を落としてから、間もなく半世紀の時が経つ。すなわち、今年は“没後50年”のメモリアルイヤーなわけだが、そのボリビア戦線でゲバラと共に行動、志を貫いて殉じていった唯一の日系人が存在した!
彼の名は、フレディ前村ウルタード―。

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日本とキューバの合作映画、阪本順治監督の『エルネスト』は激動の時代を駆け抜け、祖国ボリビアでの抵抗運動に身を投じた“日系二世の若い戦士”の鮮烈な、知られざる生涯を描いた作品である。主演は、オダギリジョー。阪本監督とは『この世の外へ クラブ進駐軍』(04)、『人類資金』(13)に続いて3度目のコンビ作となる。

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昨年、ツイストの効いたSFコメディ『団地』(16)で新たなる“引き出し”を開いてみせた阪本順治監督。長編映画で実在の人物を主人公とするのは、これが初めてとなる。本作の企画は、4年前、原案となる書籍『革命の侍~チェ・ゲバラの下で戦った日系2世フレディ前村の生涯』(長崎出版・09年/17年9月キノブックスより再刊)と遭遇してスタート。3年半に渡るリサーチにまず時間を費やした。キューバとボリビアを何度も訪れ、そして当時のフレディやゲバラを知る関係者への取材をもとに、自ら脚本を書き上げたのだった。かたや長年、トップアクターとして疾走し続けてきたオダギリジョーは、『マイウェイ12,000キロの真実』(12)、『FOUJITA』(15)など国際派俳優としても知られるが、今回、約半年間でスペイン語(フレディの生まれ育ったボリビアのベニ州の方言)を完璧にマスターし、体重を12キロ絞り、さらに仔細に役づくりに励んで見事、阪本監督の望む“革命の侍”を体現した。

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チェ・ゲバラを演じたのは、キューバの俳優であり写真家でもあるホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ。ヨーロッパ映画の短編やスペイン=キューバ合作の『裸足のバレリア』に出演している。また、広島来訪時のゲバラを唯一取材した森記者役に、映画『真田十勇士』(16)やNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』(16~17)の永山絢斗が配され、日本とキューバ、2ヶ国を代表する豪華キャストとスタッフが混合タッグを組んで製作に当たった。

ゲバラによって「新しい人間(オンブレ・ヌエボ)」と目されたフレディ前村ウルタード。半世紀の時を経て、世界に公開され、“革命の侍”が甦る!

エルネスト